筋痛性脳脊髄炎 / 慢性疲労症候群
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)とは?
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)とは、これまで健康に生活していた人がある日突然原因不明の激しい全身倦怠感に襲われ、それ以降強度の疲労感と共に、微熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、脱力感、思考力の障害、抑うつ症状などが長期にわたって続くため、健全な社会生活が送れなくなるという疾患です。現段階では、詳しい発症要因は分かっておらず、原因不明の病気です。
症状が重たく寝たきりに近い方、症状に苦しみながら学校や会社に通う方、症状の改善や悪化を繰り返す方など個人差がありますが、日常生活に影響があるため、患者さんにとっては大きな苦痛を伴います。
身体的負荷のあとに極端な消耗(労作後の消耗)が起こることが一つの特徴です。そのほか、睡眠障害、認知機能障害を通常伴います。また、立っていることができない、音・光・匂いに耐えられない、頭痛、関節痛、筋肉痛などの症状のために生活の質が極端に低下することがあります。さらに、原因不明の発熱や、腹痛・下痢、体温調節が困難になるといった症状もみられることがあります。
この病気は、発熱、咽頭痛、下痢などの風邪症状のあとに発症することが多いことから、ウイルス感染が引き金になっていることが共通認識になっています。新型コロナウイルス感染後にも、一部の患者さんで筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群に移行することが国内外で報告されています。
治療
治療としては、症状を悪化させないことや少しずつでも症状をやわらげることが目標です。
- 補中益気湯
慢性疲労症候群では比較的よく使われるお薬で、全身倦怠感や免疫力低下などを改善できるといわれています。
- 六君子湯、抑肝散、当帰芍薬散、十全大補湯、葛根湯、加味逍遙散
- コエンザイムQ10(ノイキノン)
コエンザイムQ10は身体の中でエネルギー産生や抗酸化作用に重要な物質ですが、この作用が低下してると思われる慢性疲労症候群の患者さんが服用すると、作業効率や睡眠の質を改善できるといわれています。
- ビタミンC
抗酸化作用により疲労感を軽減すると言われています。
- イミダペプチド
疲労感を軽減すると言われています。
- ビタミンB12
- カルニチン補充
アセチルカルニチンの濃度低下を補充し症状をやわらげると言われています。
- ビタミンE、ビタミンB1
- NSAIDs、ノイロトロピン、リリカ、トラムセット
線維筋痛症の合併などの疼痛をやわらげます。
- SSRI、SNRI など
セロトニンやドーパミンの代謝異常に有効と言われています。